精霊流しは歌のイメージとは違ってど派手

2019/3/11

長崎で行われる伝統行事に8月15日の「精霊流し(しょうろうながし)」があります。
初盆の人の遺族が故人の霊を弔うために手作りの精霊船を造り、「流し場」と呼ばれる終着点まで船を曳き、極楽浄土へ送り出します。
初盆ではない家庭は、藁を束ねて作った菰(こも)にお供え物を包み、お線香を焚きながら「精霊船」の到着場所である流し場に持っていきます。
精霊流しは海沿いの地域が主に行う行事であるため、長崎県全土で行われているわけではありません。
昭和49年にグレープが歌った同名の「精霊流し」によって、一躍全国的に有名になりました。作詞・作曲したさだまさしは長崎出身です。
グレープの精霊流しはバイオリンの音色や歌詞から、何かひっそりとした物悲しいイメージを抱きますが、本物の精霊流しはかなり賑やかな行事になっています。

精霊流しの中身

爆竹の破裂音や鉦(小さく平たい鐘)の音が耳をつんざき、「ドーイドーイ」の掛け声が体を揺さぶります。喧騒という言葉がピタリとします。爆竹の購入費に何万〜何十万円もかける家が少なくありません。

精霊流しは中国から伝わった風習とされており、爆竹を大量に鳴らすのも中国の魔除けの影響を受けているからです。鎖国時代に貿易の窓口になっていた長崎ならではの風習と言えます。
精霊船が通るために、メインストリートは交通規制が敷かれます。グレープの精霊流しをイメージして観光に来た人は、あっけにとられるはずです。
なお、環境汚染の問題から、精霊船が海に流されることはありません。

精霊船

長崎市内だけで精霊船は毎年1,000以上も造られ、中には造るのに警察の許可を必要とするような大掛かりな船も少なくありません。
精霊船は山車のような造りをしており、長く突き出した船首(みよし)に家紋や家名、町名が大きく記されています。船の本体は造花や多くの提灯で飾られており、まるで花電車のようです。
なお、「もやい船」といって、町内や団体が共同で造る船もあります。

長崎のお墓

長崎のお墓は斜面地に沿って建てられるものが多くなっています。
初盆のお墓では提灯を2段3段重ねにするため、提灯の数が20個以上になります。初盆以外のお墓でも5〜10個の提灯を飾るため、夜になると斜面が提灯の灯りで染まります。
また、陽が沈むと、斜面のそこら中から多くの「やびや(ロケット花火)」が空に向かって飛んでいきます。長崎ではお墓で花火大会が開催されます。
なお、血縁者だけではなく、近隣にお墓のある家庭同士がお互いに線香を持って挨拶やお参りに訪れるのも長崎ならではの習慣です。

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